「この頃のお前は可愛かったなぁ~」 「…何、いきなり」
二人で写真整理をしていると、久美子が白金時代に全員で撮った写真を眺めながら溜め息をついていた。
「今じゃすっかり大人になっちゃって、この頃の可愛げはどこいったんだよー」 「んな頃と比べられても…」 「高校沢田~可愛い沢田に会いたい~!」
久美子とは違う呆れた溜め息混じりに、それでも答えはする慎は手を止めてじたばたし出した久美子を横目で見やる。
「あの頃の沢田は『ヤンクミ先生大好き~!』とかつって天使みたいな…」 「馬鹿か。お前の妄想はいつまで遡って捏造してんだ」 「かーわーいーくーなーいー!!」 「ハイハイ」
頬を膨らませ唇を尖らせて不満を訴える姿はとても30歳を迎える女性の姿には思えないが、こんな姿も可愛いと思ってしまうんだから、かなり末期だと思う。
「お前はとりあえず手を動かせ」 「なあなあ、ヤンクミ先生大好き~!って言ってみ?」 「アホか」 「かーわーいーくーなーいー!!」 「…やる気ねぇなら、可愛がらせていただきますけど」
そもそも写真整理をすると言い出したのは久美子で、慎は叩き起こされた側なのだけど、どうにも立場が逆転している気がしてならない。
それならば。
やる気の無い方は早々に切り上げて、やる気のあるコトをさせて頂こうじゃないかと慎がにじり寄ってきたところで、やっと状況に気付いたらしい久美子の顔がひきつった。
「やりますっ!」 「うん、じゃあヤるか」 「…ま、待て!なんか違う!意味が違う気がするぞ!」 「気のせいだろ?」 「わっ、ちょっ…のし掛かってくんなあ!!」 「ハイハイ」
聞く耳持たずに、珍しくもニコニコと笑顔を向けてくる慎の動きをなんとか阻止すべく頑張ってはみたが、所詮久美子を丸め込むことに関しては右に出るものの居ない慎に掛かればそんな頑張りは無駄でしかなく。
ちっとも進まなかった整理する写真の束は、結局翌日の朝まで放置されることになったのだけれど、改めて整理し始めた際は、何故か久美子が一切無駄口たたかないままとてもスムーズに終わったという話だ。
Fin
家族が増えるので新居にお引越しする為、ついでの写真整理…という裏設定がありました、実は。 まだ動きやすい内に~ってことで、おなかは大きくありません。 でも慎ちゃんはきっと過保護(笑)。
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