ふわふわふわふわ。 わしゃわしゃわしゃわしゃ。
「…おい、ヤメロ」 「ん~?んっふっふ~?」
慎の背後に陣取って、何が楽しいのかにこにこと笑顔で慎の髪をずーっと触り続けている久美子は、本人が眉間に皺を寄せて嫌がってもあまり関係ないらしい。
「いい手触りだよな~お前の髪。はぁ~癒やされる…」 「オレは吸い取られてる気がする」 「失礼なヤツだな!篠原さんはそんなこと言わねぇぞ!」 「シノハラサンにはこんなことしねぇからだよ!」 「ぐっ…し、したって言わないぞ…多分…!」 「やってみてから言えバカ」
元々触れられる事を好まないタチの慎が、ほぼ無理矢理とはいえ久美子がしたいままに触らせている事が驚きなのだが。
「ちょっとだけ癖っ毛だよな~いいな~」 「…お前ストレートだからな」 「気に入ってはいるんだけどさぁ。ふわふわの髪とか憧れるんだよー」 「だからってヤメロ」
払われても避けようとしても追って来ては触りまくる久美子に半ば諦めつつも、この上なく楽しそうに触る様子を見れば強く言えないのは惚れた弱みなんだろう、とひっそりと溜め息をつく。
「子供が2人とか産むんだったらさ、ふわふわの髪の子とストレートの髪の子と…ってのが理想なんだよな!」 「だよな、って。知るかよ」 「ンでだよぅ。沢田は?どんな髪の子が欲しい?」 「…別に希望ないけど」 「じゃああたしと同じにしとけ!」 「それこそなんでだよ…」 「…なんででしょう…」
言った久美子も、何かおかしなことに気付いたらしく先程までの勢いが無くなった。
だって子供の髪の質の希望を同じにしろなんて、それはまるで。
「…ふ、深く考えるなよ!」 「考えてねぇし」
なんだか触りにくくなってしまった久美子は、元居た慎の隣に戻って弁当を摘み始めたが、それからは少し口数が少なくなった。
「…なんで髪の毛の話題であてられるんだろうオレ達…」 「知らねぇけど、甘酸っぱくてすげー居心地悪ぃよ」 「2人とも微妙に照れてんのがやだー…」 「慎ちゃんの子だったら可愛いだろうけどさー」 「「「いや、そこじゃないから」」」
実は屋上で6人で昼食中だったのだけれど、はちみつレモンな空気を垂れ流しだした2人に残り4人は昼休み終了までお尻をもぞもぞ、口をもごもごさせる羽目になってしまった。
Fin
はーちみっつれっもん♪ 青春です。口が滑っちゃった故の青春です。
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