恋する貴方へ贈る百の花
032  チューリップ(桃)/恋する年頃
 やあ、可愛いハニー達!
 ボクは南陽一21歳、いつでも恋するオトコノコさっ!

「うっわぁ~~~…」
「バカ以外何者でもねぇってコレ」
「つーかキモイ。すげーキモイッ!」
「…はぁ」

 久しぶりに5人で集まったクマの店。
 テーブルの上にオレの携帯を置いて、それを全員で囲んで微妙~~~な顔をしている4人がいた。

「バッカお前等!合コンで鳴らしてもらってこれ流れたら…」
「「「引くだろ!」」」
「…はぁ」
「笑いで盛り上がるんだよお!」

 話題はオレの着信音。
 ラーメン食ってる時に、この前合コンでイイ感じだった子からメールが来て、ウキウキ開くオレを4人が呆然と見て…散々この着信音をバカにされて今に至る。
 自分の声を録音したコレはオレの重要なアピールポイントだっつーのに。

 しかも我等がリーダーの慎はバカにするどころか一言もしゃべらねーで溜め息ばっかりついてやがる。

「慎ちゃ~ん…笑ってる場合じゃないんじゃね?」
「…何が」
「21にもなって!そのルックスで!ドーテーって…合コンじゃドン引きよ!?」
「アホか」

 あっ。また溜め息つきやがった!
 一応は見せてた「話を聞く姿勢」も放棄してあくびまでし始める姿は、憎らしい程カッコイイ。

 そりゃー慎が女に興味示さないのなんて、高校からずーっとそうだし、大学入ってもやっぱり全然…健全な学生らしいけど。

 それでいいのか青少年!!って思うわけだ!

「慎ちゃんも彼女の一人も作ってさあ~」
「いるし」
「うん、じゃあもう一人…ええーーーーーーーーーー!!?」
「「「「いるのーーーー!!?」」」」
「うるっせぇ」

 思わず声を揃えたオレ達4人に、慎ちゃんは片手で耳を塞いで顔をしかめる。
 いやいやいや!
 だってここは聞くべきでしょ?
 いつの間に…つーかオレ達の知らない所で青春謳歌とかナシでしょ!?

「なんでなんでなんで!」
「どんな娘よ!?」
「オレ達の慎ちゃんがあー!!」
「写真は!?」
「…見たいワケ?」
「「「「見たいデスッ!!」」」」
「ふーん」

 なんでかうっちーが一人嘆いてるけどそれは置いといて、テーブルがガッタンガッタン揺れる位図体のデカイ男達に力強く詰め寄られても大して興味なさそうに自分の携帯を弄ってた慎が、おもむろにどこかに電話を掛け出した。

「…お前今どこ?…うん、こいつらがオレの彼女に会いてぇっつーんだけど」

 平然と話す内容に、否が応でもオレ達も小声で盛り上がる。

「え、彼女!?」
「彼女来ちゃう!?」
「オレの慎ちゃんが女に…」
「うっちーうぜぇ!」
「ホモかっつの」

 未だ落ち込むうっちーに突っ込み入れつつ、こんな元白金メンバーの所に誘って大丈夫か?なんて心配までしそうになりつつ、パタンと携帯を閉じてなんでもないことみたいに

「これから来る」

 ニヤリと言ってのけた結論で、ボルテージは最高潮まで上がった。

「ちょっとちょっとぉ~!元白金でビビって逃げられたらどうするよ!?」
「…まずねぇな」
「肝据わっちゃってる系?」
「無駄に据わりまくってる」
「えー美人?可愛い?」
「…美人で可愛い」
「「「「ぎゃーーー!!!」」」」

 慎が!
 あの沢田慎が!
 あろうことか彼女自慢!!

「慎、ベッタ惚れじゃん!」
「まあな」
「し、慎ちゃんが…」
「やっべぇ!こっちが照れてきた」

 青い顔のうっちーの隣で赤面した顔をパタパタ扇ぐ野田に、当の慎は照れる事もなく時計を見て時間を確認している。

「そろそろ来るな…おい、お前らに先に言っとくけど」
「「「「何、何?」」」」
「…誰が来ても、驚くなよ」

 それきり何を聞いても黙り込んだ慎に首を傾げつつも、幻の彼女についてアレコレ自分達の想像を語り合ってた中、いきなりすんげーいい勢いで店の扉をスッパーン!と開け

「いようお前等!元気だったかあー!」

 元気良く入ってきた「美人で可愛い」元担任の姿に、その日一番の大絶叫が響き渡った。

 驚くなって…無理だっつーの!



Fin

南くんでした。
彼にはいつまでも変わらぬ女好きで…そして女運が悪くいて欲しいです(ひでぇ)。