ぷっくりと膨らんだ頬は、怒りの為に紅潮していて、それさえも可愛いんだけど。
そこで可愛いからといって腕の中に仕舞い込もうとすれば、容赦なく鉄拳が飛んでくるのだから、この山口久美子という女は油断できない。
「…機嫌直せって」 「うるさいっ」 「もう行かねぇし」 「別に行けばいいじゃねぇか!」 「可愛い彼女に拗ねられたくないんデスケド」 「かっ…こっ…シュケコマシ!!」
あ、噛んだ。
でもここで突っ込めば、やっぱり容赦の無い鉄拳が…(以下略)
好きなときに好きなだけ抱きしめられない、もどかしいオレの彼女は今、ヤキモチを妬いていた。
それもこれも大学の友人の一人に、騙し打ちで連れて行かれた合コン開催地の店の、しかも2つ隣の席にこいつが居たという嬉しくない偶然が理由。
つーか、見てんなら初っ端から機嫌が最悪だったオレの精神状態も気付いて欲しかった所だけども、目が合った次の瞬間に俯いて逃げるように生徒と立ち去ったこいつは、この3日一切電話も出ずメールも返信せず、家に行っても居留守を使いやがった。
極道だというのに、毎日通っては追い返されていたとはいえ一介の大学生に、代わる代わる「おお…おおおお嬢は、るるるるる留守でござんしてぇえ~…」…と
あらぬ方向を見ながら、とんでもなく挙動不審な対応をした挙句、結果的に最終日となった3日目の昨日は、組長さんまでが「悪ぃなぁ慎の字…」と玄関先に済
まなそうに出てくる始末。
多分、その後組員に泣きつかれたか組長さんに尻を叩かれて来たのだろう山口久美子は、物凄い仏頂面を引っさげてオレの家にやってきた。
そして、今に至る。
ヤキモチは大いに結構。 オットコマエな彼女に妬かれるヤキモチなら100でも200でもドンと来いなのだけど、ほぼ毎日会っているものをこうして数日とはいえ連絡手段を断たれて、触れないのは10000万歩譲っても声さえ聞けないというのは正直、辛い。 常に何かあったっちゃ~生徒に彼女を取られている身としては、ちょっと位「オレを大事にしろ」とまでは行かずとも「もうちょっといちゃつきたいデス」というのが毎日の本音なのだ。
こんなにベッタ甘なばかっぷるになる予定は、この恋に引きずり込まれるまで全くなかったんだけど…この化粧っ気もなく取り立てて美人でもない女に落ちた時から、このただ一人にしかときめかないしムラムラしないし…あーよく考えたら、しばらくこいつに触ってないし。
「…なんだよ、寄ってくんじゃねぇ!」 「スケコマシなのはお前専用だからさ」 「だからなんだよ」 「触らせてください」 「……………はっ!!?」 「触りたい。もうアチコチ全部残らず触らせてください」 「ちょ、ちょ、はっ!?何!!?」 「お前に3日も触ってねーんだよ!」 「逆ギレかよ!!」 「うるせーもういちゃつかせろ!」
いきなり迫ったオレに拳を出すのも忘れたのか、暴れん坊な筈の山口久美子はいつになく簡単にスッポリと腕の中に納まった。
「このガキャァ…」 「あ、機嫌直ってる」 「うるさいっ!」
生意気な口を叩いて、それでも体は素直に擦り寄ってくる彼女に怒りが解けたのを感じて言葉にすると、至極不本意そうに思いっきり抱きしめられる。
「げほっ…お前加減しろって」 「お前こそしっかりぎゅーっとしやが…うぶっ」
ヤキモチは少しは妬いて欲しいけど、3日もショックでオレを避ける位こいつが辛い思いをするのなら、今後一切合コンに行かないことにしようと思う。
沢田!苦しい!と騒ぐ彼女に構わずぎゅーっと抱き潰して、とりあえずオレは3日ぶりの可愛い彼女を堪能することにした。
Fin
ヘッターレ!! というわけで、お題ではお初となります赤慎ちゃんです。 ヤキモチでやさぐれた久美子さんは何気に可愛いと思います。 そして久美子さんとただひたすらいちゃつきたいという慎ちゃん。
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