「ありえねぇ!」 「…はァ?」
夕食後の楽しい共同運動を終えた風呂の後。 先に上がって既に髪の手入れも終わったらしいヤンクミは、「あたし専用だ!」と持ち込んだこの部屋には似つかわしくない真っ赤な色のクッションを抱え、風呂上りのオレにいきなり文句をたれてきた。
今の今まで風呂に入ってたんだから別に文句を言われるようなことをしたとも思えねぇんだけど。
…まあ、風呂に入る「理由」の時はちょっといじめたのは認めるが。
「何だよ?」 「お前の色気が憎い~~~~!!」 「はあぁ!?」 「上下スウェットの癖に!髪が濡れてるだけでなんでそんな色気増強してんだよっ」 「…わっけわかんねぇんスけど」
ずるい、ありえねぇ、を何度も連発して頬を膨らませてる女の横に腰掛けて冷蔵庫から取り出したミネラルウォーターのペットボトルを煽る。 じと目で放たれる視線は、正直居心地が悪い…というより、こいつの言ってる意味がわかんねぇ。
「今日も言われたんだ…」 「何を」 「あたしより沢田の方が色気があるって…お前に少し分けてもらえって!」
多分そんなことを言うのは矢吹あたりだろう、と目星をつけて溜め息をつく。
「それというのもお前が年々…いやっ!日々色気増幅しまくってエロ魔神になってる所為だ!」 「まじん…?つーかお前の色気がねぇのなんて今に始まったことじゃねぇだろうが」 「おっ…お前っ…あたしのカレシの癖に、彼女に対して色気がねぇとは何事だあ!!」 「事実だろ」
胸倉を掴もうとしてくるのを阻止して、素早くヤンクミの後ろに回って抱きしめると、なんとか逃げ出そうとじたばたもがいて無駄な足掻きをする。 伊達にアフリカ行ってねぇんだっつーの。
「力まで強くなりやがって!むっかつく~~~~!!」 「カレシに負けてむかつくなバカ。で?色気が欲しいわけ?」 「…あるもん。少ないだけ…っちゅーかお前に吸い取られてんだきっと!」 「見得張るな。元々ねぇもんは認めろ」
ばっさり言い捨てたオレの言葉に、思いっきり膨れっ面になった頬にチュッとキスをして、さらさらと滑らかな手触りの髪を掻きあげて首筋に吸い付いた。
「ぎゃっ…ちょっと…っ」 「お前の色気が出る時はオレだけ知ってりゃいいけど…」 「あ、あるのか!?」 「する前としてる時と、した後とか?」 「は?何を?」 「セックス」 「!!!!!!!!!!!!!」
何度しても、単語を聞くのは苦手らしいヤンクミの見えてる肌が全て赤く染まったのを見て満足感に浸りながら、耳の下にもひとつ、赤い痕をつける。
「とりあえず、お前に色気を感じてる男がいるんだからいいだろ」 「…感じる?」 「もう一回風呂入ることしたいくらい」 「だめだバカッ!」 「んー…」 「わっ!ちょ…………」
まだ風呂上り特有の、石鹸の強い香りがする肌を舌で辿りながら、湯船のお湯捨てなきゃ良かったかな、と頭の片隅で思った。
Fin
慎ちゃんの風呂上り…! 自覚の無い湯上りお色気…!! もう想像だけでご馳走様です(笑)。
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