僕達ライバル!
慎ちゃん帰国前。久美子さん黒銀勤務中。


 特に変わったこともないまま過ごしていた、ある日。
 オレ達5人は教室の後ろの席で放課後何をして遊ぶか相談すべく集まっていた。

 ナンパ!ナンパ!と手拍子しながら主張するつっちーと日向をキレイにスルーして、竜が「ビリヤード」と言い、オレが「カラオケー!」と言う中いつもだったらうるさい位自己主張の激しい隼人が黙ったまんまなのに気が付いた。
 竜も気づいてたみたいで、オレと顔を合わせてちょっと首を傾げた後無言で入り口を見てる隼人に声を掛ける。

「おい…どうした隼人?」
「オレのことは気にしないでくだパイ」
「いっつもうるさい隼人がうるさくないと気になるよぉー!」
「う、うるさくねーよ!!」
「「「うるさいにゃ!!」」」

 否定する本人に声を合わせて否定したら口をへの字にして膨れた。
 そんな顔したって可愛くないってば…。

 隼人がこれじゃ、放課後はどうなるかなーとか思ってたら帰りのSHRの為にヤンクミが元気いっぱい入ってきた。

「お前ら席につけー!」
「山口っ!!」
「ど、どうした矢吹?」

 それまで無言を通していた隼人が、ガッタン!と大きな音を立てて椅子から立ち上がったと思うとバンッ!と机に両手をつき

「沢田さん紹介してくれ!!」
「はっ!?」

 大声でなんか変なこと言い出した。

 サワダさんって、誰…?
 合コンキングの隼人が山口に頼んでまで紹介して欲しいってことは、相当の美人ってこと?

「えー何、何?サワダさんって誰なの隼人!!」
「何ぃ!?抜け駆けなしだぞ隼人!チャンスは平等に!!」
「オレ達だって美人なサワダさん紹介して欲しいにゃ!!」

 日向とつっちーも同じこと思ったんだろう。
 隼人だけにいい思いをさせてなるものか!っていう心の声が聞こえそうな位(つーか駄々漏れだけどね)我先にとヤンクミに詰め寄りだした。

「ちょ、ちょっと待てお前ら!ってゆーか矢吹がなんで沢田を知ってるんだ!?」

 突然のことにSHR始めるのも忘れて、ヤンクミが視線をうろうろさせながら慌ててる。

「熊井さんに聞いたんだよ!」
「あ、クマか…」
「で、話聞いてる内に惚れたんだ!!」
「はあああああ!!?」
「「「話だけ!?」」」
「写真も見たけど半端なかった!!」

 結構面食いの隼人を、熊井さんの話と写真だけでここまで惚れさせちゃう「サワダさん」に俄然興味が湧いた。
 だって隼人の目がめっちゃキラキラして、ほっぺなんか赤くしちゃってるし!

 泣く子も黙るうちのツートップの片割れをこんな可愛い恋するオトコノコにしちゃうサワダさん、会ってみたいもんね!!

「で、紹介して山口!」
「ムリだよ!クマに聞いたんならあいつが今アフリカ行ってるって知ってるだろ?」
「だって熊井さんがもうすぐ帰ってくるって言ってたもん!!」

 もんって…隼人…。
 恋するオトコノコでもそれは可愛くない、可愛くないよー!

 愛する幼馴染の意外すぎる姿に、オレとしたことがすんごい引いた顔になっちゃったけど、横を見たらいつもは大体無表情を貫いてるもう一人の3Dツートップの片割れが同じようなすごい顔になってた。
 そりゃあ相棒がこんなんなっちゃったらドン引きだよね…うん。

 で。モン☆とか言っちゃった隼人の言葉に、オレ達以上にヤンクミが見た瞬間びびる程それはそれはスゴイ顔で固まって隼人を凝視して、動いたかと思うとこれまたすっげぇ勢いで胸倉を掴み上げてグラングランと揺すりまくった。

「矢吹今なんつった!!!」
「うっ!ぐぇっ!がっ!」
「おっまえ今なんつったんだ!!!!」
「やっヤンクミ!!隼人死んじゃう!!!」
「わあぁ!ヤンクミ!隼人離せって!!」
「うるさい!クマに何聞いたか教えろ矢吹イイィ!!!」
「…ぐっ…」
「わー!隼人ぉー!!」
「ちょっ、お前らヤンクミ押さえろ!!」
「はああぬぁああせぇええ!!」
「「「「ヒーーーッ!!」」」」

 ヤンクミの迫力に気圧されながら、クラスメイトの協力により、5人掛かりでやっとのことヤンクミを引き剥がすと、蒼白を通り越して土気色になりかけてた隼人が涙目でゲホゲホ咳き込みながら竜の後ろに隠れて安全を確保した。
 どうどう、と暴れ馬ヤンクミを宥めすかして落ち着かせると、なんとか正気を取り戻したらしく「あ。やっちゃった☆」とか言ってる。

「山口てんめぇ、殺す気か!!」
「す、すまんすまん。ちょっと動揺しちゃってな!」

 ちょっとじゃないよヤンクミ…。
 誰もが思ったけど、さっきの今で口に出す猛者は3Dと言えども居ない。
 当の絞められた隼人は、首元を摩りながらまだ諦めずにヤンクミに紹介を求めてた。
 写真と話だけでそんなに惚れたなんてすごい…。

「熊井さんに聞いたら、ヤンクミが一番沢田さんと仲いいから頼めって言われたんだけど」
「まあ、沢田とは親友だからな!」
「ヤンクミを親友にするっていう時点で勇気ありすぎだにゃ…」
「沢田は器がでけぇんだよ!」

 ぽつりと本音を言った日向をげんこつで叩いて、ちょっと考えた後

「沢田次第だけど、別に紹介すんのはいいぞ矢吹!」
「マジで!!」
「ただし!」

 にっこり笑って承諾したヤンクミは、ガッツポーズで喜ぶ隼人の眼前にビシッと指を1本出して釘をさす。

「紹介すんのは沢田が帰ってきてから1ヶ月後だ!」
「えーーー!なんでだよ!?」
「あたしが沢田と遊ぶからに決まってんだろーが!」
「混ぜてくれればいいじゃん!」
「うるさい、そしたら独り占めできねぇだろ!!」

 ただでさえ沢田は人気者で、帰国後すぐは独り占めできるかわかんないんだ、とかなんとかヤンクミは地団駄踏んでいるけど、まだそのどっか行ってるらしいサワダさんは帰ってきてないんだよね…?

 帰ってくる前から「親友」と「知らない男」に取り合いされてるサワダさん。

「オレも会いたい、サワダさん!!」
「「「「「はあ!?」」」」」
「だってなんかすごい人っぽいもん!」

 突然立候補したオレに集まる視線ににっこりと得意の笑顔で応戦した。
 だってヤンクミの親友が隼人のカノジョになるかもしれないなんて。
 すっげー面白そうだもん!
 隼人が落とすなら最初から見たいもん!

 オレの笑顔に弱い隼人は「は~」と深ーい溜息をつき、ヤンクミは仕方ねーなぁという顔をする。

 とりあえず、熊井さんにいつサワダさんが帰ってくるのかを確かめて、それからだ!とヤンクミは締めくくるとSHRを終えてさっさと教室を出て行った。
 後に残ったオレ達は、さっきの勢いで箍が外れた隼人に延々と「サワダさんの武勇伝」を聞かされて、やっとサワダさんが女じゃなくて男だってことがわかったんだけど。

 まあ隼人がそっちの道に行っちゃっても、幼馴染と仲間は止めないであげるから安心してね!って言ったら殴られた。

 早く帰ってこないかなーサワダさん!


Fin

慎ちゃんに黒銀メンバー(というか隼人が)ベタ惚れで、慎ちゃん超大好きっ子な話。
ブログで妄想をメモってたらどうしても書きたくなって書いちゃいました。