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主に勉強をする為に通う学校から、勉強をせずに出てきた5人。
その後ろからは担任である久美子が「寄り道すんなよ!」と腕をブンブン振りながらおさげを揺らして追いかけてくる。
「もーついて来んなよ山口ぃ!」
「仕事しろ仕事!」
「てゆっかお前こそ帰れにゃ!」
「つーか学校帰れ学校!」
「てっめぇらぁ~!!」
「「「「いってぇ!」」」」
「あっ沢田さん」
「よお」
順番に一発ずつゲンコツを喰らった4人を余所に、唯一静かな部類に入る小田切が少し離れて傍観していた慎を見つけた。
途端、わらわらと寄って来る学ランの集団は、傍から見ると不良共が絡んでるように見えるらしいが、懐かれてる側からすれば黒いワンコ共がじゃれついてきたように思えて可愛いもので。
「沢田さん今帰りッスか?」
「沢田さん途中まで一緒に行きましょー!」
「沢田さんオレちょっと背ぇ伸びたんス!」
「沢田さんこの前借りた本面白かったッス」
「沢田さん熊井さんのラーメン食いに行きません!?」
「「「いーねー!!」」」
「ちょーーっと待てぇいお前ら!!」
四方を囲まれて全員から次々に声を掛けられ返事をする間もなく腕を引っ張られかけた所で、自分の生徒5人に忘れ去られていた担任教師の「待った」が掛かる。
「なんだよヤンクミィ」
「「「邪魔すんな!」」」
「あたしじゃないっ!邪魔してんのはお前らっ!沢田はあたしと約束してたんだぞ!」
「なっ?なっ?」と生徒を掻き分けて腕にしがみつき、半ば必死で慎に確認するとそれまでほとんどしゃべらせて貰えていなかった慎が苦笑いで久美子の頭をぽふんと撫でた。
「ま、そういうワケで」
「「「「「えぇー…」」」」」
「ホラ見ろ。お前らは寄り道しないで帰れってコトだ!」
「また今度な」
見るからにしょんぼりと項垂れた生徒5人とは裏腹につやつやと輝かんばかりの笑顔で改めて慎の腕にぶら下がった久美子がニッシッシと得意気に笑い、慎は少しばかり済まなさそうに空いている片手を挙げて挨拶をする。
「つーか俺の意見ないよな、いっつも」
「あたしと約束してたんだから、それがお前の意見だろ」
「…そういうことじゃなくて…まぁいいけど」
「今日の夕飯はおっなべっだぞー!」
「一昨日も鍋だったけどな」
諸事情で居候してる身としては、夕食に文句なぞ何もないが住んでみて改めて大江戸の「鍋率」の高さに驚いたものだ。
在学中「うちは週に一回は鍋だぞ!」と言っていた久美子の言葉に嘘偽りなく…いや、正確に言えば「週に一度「以上」鍋だ」というのが正しい。
寝起きを共にしだして数ヶ月…食べた鍋の数は、正に数知れず、だ。
「鍋イヤだったら、クマんとこでラーメン食うか?」
「いや、別にいい」
というか、そんな選択肢があるなら生徒も交えて7人で行けば良かったんじゃないかと思うけど。
それをさりげなく伝えれば頬を目一杯膨らませて不満を露にし
「あいつらがいたら沢田と何っにも話せないだろーが!」
なんて可愛いことを言ってくれてしまったので、懐いてくれてる生徒には悪いがやっぱり久美子を最優先にしてしまう慎だった。
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一方こちら、振られてしまった黒銀のワンコ5匹。
久美子ならともかく慎に断られてしまえば、無理に着いて行くこともできない位懐いてる立場としてはいつ来るかもしれない「今度」では不満な顔は隠せない。
「ヤンクミずーるーいー!」
「オレ達だって沢田さんと遊びたいしー」
「いっつも山口に邪魔されるしさー」
「もー今度こっそり誘っちゃおうぜ」
「…無理じゃねぇの?」
「なんでだよー竜は山口の味方しちゃうわけ!?」
「だって沢田さん、大江戸に住んでるじゃん今」
「「「「…はああ!?」」」」
一人諦めの早かった小田切の爆弾発言に4人はでっかい口を全開にして詰め寄った。
「なんでンなこと竜が知ってんだよ!」
「この前本屋で会った時、沢田さんに聞いた」
「なんでこっそり会ってんだよ!」
「だから偶然だって」
「ずーるーいー!竜とヤンクミずーるーいー!」
「オレもかよ!」
「「「「不公平だあああ!!」」」」
慎を誘う算段さえ難しい事を知った4人が騒ぐのを、自分だって慎とゆっくり遊びたいのに余計な嫉妬を貰った小田切は溜め息を漏らした。
Fin
もしも慎ちゃんが大江戸に居候していたらバージョン。
思いついたのでメモメモ…とか書いていたら妙に長くなった為、ブログに入れるのをやめてこちらに(笑)。
慎ちゃん大好きっ子な黒銀です。
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