「なんでなんだああああああ!!!」 「うるせぇよバカ」
お馴染みお昼休みの屋上風景。 育ち盛りの食欲はお昼まで待ち切れないというもので、早弁をした内山・野田・南・クマの4人は午後を空腹で過ごすわけにいかない!と食料を買ってきたのだが、向かう屋上ではいつも騒がしい担任が更に騒がしくなっていた。
「今度はなんなの~ヤンクミー」 「っつーかまたその体勢なのね…」 「俺なんかちょっと慣れてきた自分がやだ」
我関せずという姿勢で貫くことを決めたのか、もしくは本当に気にしてないのかわからないクマ以外の3人がうすーい笑いを浮かべながら、指定席となった位置に腰を下ろした。 視線の先には、つい先日内山によって「無法地帯」と称された時と同じく慎を跨いで座り、髪に顔を埋めた姿勢のヤンクミがいて、さも「納得いってません!!」というしかめっ面で唇を尖らせている。
「シャンプー交換したのに、やっぱり匂いが違うんだよ!!」 「だから諦めろって…」 「やーーーーだーーーー!!!」 「んなこと言ったって同じの使ってんだから、もうどうしようもないだろうが」 「ううぅ~~~~~~~っっ」
アンタホントに23歳?と聞きたくなる駄々の捏ね方をする担任を諌める我らがリーダー。
少し前までは大人という大人に対して「寄るな触るな怪我するぜ」ってオーラを振りまいてた慎が、妹であるなつみ以外の女という女を邪険に扱いまくってた慎
が、一応カテゴリ的には「大人」で「女」の部類に入るであろう久美子を(自覚があるかは置いといても)自ら進んで傍に居たり、長い時間自分の隣に居ること
を許す日が来るなんてなんと感慨深いことか。 バカップルだの傍迷惑だの思っていても、実際の所その変化は4人にとってうれしい以外何物でもないのだ。
「後は2人が自覚さえしてくれれば最高なんだけどなぁ…」 「卒業までこの調子だったら、卒業式にもういちゃついてんの毎日見なくて済むって嬉し泣きしちゃいそうよ俺」 「卒業後もこのままってのはあり得そうだよね…」 「かなりの確率でな!」
苦笑しか浮かんでこないが、仲の良い2人の姿を見るのは好きな4人。 なんだかんだ言っても、いざ卒業で2人が毎日一緒じゃなくなると思うと、なぜかさびしい気持ちもしてくるのだが。
「なんかきっと洗い方が違うんだ!」 「んなわけねぇだろ…」 「絶対やり方がなんか違う…よし、今日お前ん家行くぞ!!」
グッと拳を握って天に向かって突き上げ力強く断言した姿にイヤ~な予感がしつつ、とりあえずは冷静に聞いてみる。
「…何しに」 「一緒に風呂入って洗い方も同じにすんの!!」 「……」
突拍子もないことを言い出した久美子に、何も言えなくなった慎の後ろから4人が慌てて久美子を慎から引き離し
「「「「ヤンクミ正気に戻れ!!!」」」」
と真っ赤な顔をして諌めた。
「何言ってる、あたしはいつでも正気だ!!」 「正気のヤツがそんな発言すっかよ!!」 「担任のセンセーがコワイヨー!」
「お前らいいから…」
どうにかして自分を守ろうとしてくれている(?)親友4人に感謝の気持ちを感じながら止めて久美子に向き直る。 いくら4人が騒いだ所で久美子が意見を曲げないのは目に見えてるし、かといって自分がすげなく断れば拗ねまくって明日から懐かなくなるだろう。 恋愛感情はないが、久美子が懐いてくると無条件で甘やかしたくなってしまうのだから、懐かなくなってしまうのは極力…いや絶対に避けたい。
「ヤンクミ、ここきて」 「うんっ!」
尻尾があったら多分千切れんばかりに振っていそうな勢いで慎の隣に舞い戻ると、まるで飼い主に「よし!」と言ってもらうのを待っているような表情で見上げてくる。
「一緒には入れねぇけど、髪は洗ってやるから…水着持って来い」 「え!洗ってくれるのか!?」 「洗ってやる」 「じゃ、家行って持ってくから…今日一緒に帰ろう!」 「ん」
洗ってもらえるとわかって、一気に満面の笑顔になった久美子は、「残業しなくて済むようにしてくるな♪」とスキップしながら屋上を去って行った。
「甘い…甘いよ慎ちゃん!!」 「てゆっかなんなの?なんなの君たち!?」 「バカップル通り越して夫婦でしょそれはー!!」 「水着着るだろ」 「「「そーゆーことじゃないよー!!」」」
水着着用だからいいんだと平然と言い放つリーダーに、もう何をどう伝えればいいのかわからなくなって赤い顔のまま崩れ落ちる3人を横目に、自分が食べた菓子パンの袋を片付けつつ
「オレ、明日慎ちゃんとヤンクミが結婚してても絶対驚かない自信があるよ…」
自嘲気味にクマが言った。
はてさて、慎に洗ってもらって久美子が同じ匂いになれたかどうかは、またいつかのお楽しみ。
Fin
久美子さんのことだから納得いくまで慎ちゃんに訴え続けるんだろうな~…と思って書きました(笑)。 お風呂で髪を洗う…という所で、き/み/は/ペ/ッ/トを思い出してしまいました。 先程ごく1ときみペのDVDを見返していましたが(何度目だよ)、キャラは違えどもやっぱり健在なお色気。 ムラムラするままに、お色気全開の話を書いてしまいそうな自分が怖いです。
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