あなたに好きと言いたくて
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あなたに好きと言いたくて
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 3学期に突然やってきた、とんでもねー担任の女。
 ジャージにメガネで男っ気どころか微塵の色気もクソもなく、大口開けて笑うは下ネタ話にノって来るわで「お前ホントは男だろ!」って言いたくなるようなヤツ。

 その上実家は大江戸一家っつーヤクザ屋さんだっつーのに、根っからのセンコーで…オレ達生徒のピンチには絶対見捨てない。
 「なんでそんなに?」ってくらい、無条件にオレ達を信じてくれる、唯一無二の最高の女。

 あ~~~~~オレ女の趣味は「可愛くて後腐れなくてエッチが上手」なのに。
 何一つ当てはまらない…いや、オレには可愛く見えちゃってンだけど、もーズルッズル後に引きそうな上エッチなんて経験さえないだろ!?ってヤツに惚れちゃってどーすんのみたいな。

 相手がセンコーってのは卒業したらオッケーだからいいとして、それより何より親友が同じ女に惚れちゃってるってのが…大問題なんだよなあ…。
 竜だってオレと同じくらいイイオトコだし?
 なんかちゃっかりフォローとかやっちゃってるし?
 しかも山口も竜を頼りにしてるよーな…とにかく竜が一番のライバルってのが、目下の悩み。

 あいつは「生徒はイロにしねぇ」つってるけど、そんなん好きにさせちゃえば問題ないじゃん!

 卒業まであとちょっとだけど、全然時間ねーけど、それまでにオレが男だってのを山口に意識させられるように、オレなりに頑張っちゃってる時に…そいつは突然現れた。


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 山口の元生徒には何人か会ったことはあった。
  最初の教え子という熊井さんと内山さんと野田さんと南さんは、熊井さんのラーメン屋に行くとたまーに…つーより3回に1回の割合で誰か彼かに会うから結構 顔馴染みっぽくなってることもあって、白金時代の山口の話(主に失敗談)を聞かせてもらったりして、今と変わんねーなーとか皆で笑うこともよくあっ た。

 でも、その中で必ず出てくる「沢田慎」ってヤツが、妙に引っかかってた。

 白金の人たちの話だと、アッタマ良くて、見た目も良くて、スポーツ出来て、仲間思いのカンペキチョージン。
 オレ達3Dじゃ逆立ちしたって入れないよーな有名大学蹴って、アフリカ行っちゃったヘンなチョージン。

 その沢田サンの話をしてる時、必ず4人が山口を「ヤンクミも大人になったよなあ」ってからかって…「あたしは元々大人だ!!」って怒りながら、ほんの一瞬だけ寂しそうな顔して隣の竜を目で探す。

 そんで、そんな山口に多分白金の人達も気づいてるのか、そういう時は4人共苦笑いを浮かべてた。

 どーせオレは竜みたいに冷静じゃねーし…山口が竜に何を求めてんのかはわかんなかったけど、やっぱ竜が手強いライバルだなーくらいにしか思ってなかった。

 その日は山口が朝っぱらから「クジョーセンセー」と合コンだっつって浮かれてんのが気に入らなくて、放課後「相談」を理由に熊井ラーメンまで無理矢理引っ張ってきてた。
 全然話そうとしないオレに(まあ相談なんてないからトーゼンだけど)イライラしてるのがマル分かりの山口を、どーやって合コン阻止しようか考えてたら俺たちしかいなかった店内に一人の客が入ってきた。

 竜もオレも結構自分の容姿に自信あるけど、全く違うタイプっつーか…妙な色気っつーか…目が離せなくなるようなキレーな顔に、スラッとしたスタイルのまさに「イケメン」。
 そのイケメン野郎は静かにこっちへ寄って来ると突然山口の肩をトントンと叩き、怒りのまま勢い良く振り向いた頬にイケメンの指がブッ刺さった。

 うっわースゲー勢いで刺さったし。

 痛さに叫ぶヤンクミを、仲間達も自分の頬を摩りながら同情の視線を向けている。
 指を刺したイケメンが「バーカ」というからには、多分山口の知り合い?なんだろうけど…振り向く途中姿勢のままで山口がフリーズしてた。

「…ヤンクミ?」
「おーいヤンクミー?」
「ヤンクミさーん!」
「やっまぐちー!起きてくだパーイ?」
「…おい、起きろ山口」

「なんで第一声が「バーカ」なんだよ…っ」

 呼びかけてやっと山口が口を開いたけど、オレ達の声がちゃんと聞こえてんのか聞きたくなる位山口とイケメンは他の人間が、オレ達が、誰も入り込めないような二人の世界を作ってるのをただ見てるしかなかった。


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別視点でも書いてみたいなーと思って、「よーしじゃあ隼人にしちゃえ☆」と安易に始めたのが運のつき…。
黒銀メインで書いたのはこれが初めてなので、キャラがイマイチ確定してませんorz
ナガムラの好きなエロくてバカで可愛い隼人はどこいったー!