「ダメだ!」 「なんでだよ!」 「ダメったらダメだ!」 「もう一ヶ月になるんだからいいじゃん!!」 「まだ3週間しか経ってねぇからダーメーだ!!」
朝のSHR、ヤンクミが入ってくるなりサワダさんに合わせろと詰め寄る隼人と、先日の帰国後一ヶ月経ったら紹介する、という約束にまだ達してないからダメだと言い張る山口が(アホで)熾烈な言い争いをしてた。
朝っぱらからなんであの2人は元気なんだ…。
見てるだけで溜息が出てきたのをタケに見咎められて肘をつんつんとつつかれる。
「何?」 「竜はさー、サワダさん会いたくないの?」 「…別に」
隼人が騒いだ後、オレ達5人で熊井さんの店へ行って聞いたサワダさんの武勇伝は、色々と凄かった。 ケンカの強さや人柄、容姿。 確かに隼人や他の奴らが憧れて、未だ白金時代の仲間に慕われてるってのはすごいけど…正直、本人に会ったわけじゃないし。 写真で見た姿は確かに整ってて、歩いてるだけで注目集めそうだとは思ったけど。マジでそこまですごいワケ?っていう気持ちがどこかにあるのが否めない。 サワダさんに会ってみたいのは山々だけど、多分それはこいつらの「憧れ」とは違って単なる「確認」っつーか「興味」に留まってるから熱くなれないんだと思う。
大体いくら憧れの相手だからって、一月やそこらを我慢できない隼人がおかしいんだっての。
「オレは何でお前らがそんなに会いたいかわかんねぇ」 「えーだってさぁ」
タケがいたずらっぽい笑顔で言った「面白いじゃん!」という言葉に更に首を傾げると、仕方ないなあ~とばかりに椅子ごと側に寄ってきて話し始める。
「もっちろんサワダさんかっこいーから会ってみたいってのもあるけどさ、あのヤンクミがあーんなに一人に執着するって珍しいじゃん、しかも生徒でっ!」
あ、元生徒か。とぺロリと舌を出したタケを見て、隼人とまだやりあってるヤンクミを何とはなしに眺めたが…確かに、タケの言うことは一理あった。
今の3Dで山口と仲が良いのはつるんでる時間の長さから言ってもオレ達5人だと思う。だけど、クラスの連中と扱いが違うかと言えばそうじゃないし、最初の教え子である熊井さんや内山さん達と一緒になっても、どちらを特に優先させることもなく分け隔て無い扱いをする山口。 だから生徒は皆平等だと感じていたけど…こと「サワダさん」に関してだけは、全く山口の態度が違った。 同級だという熊井さん達に聞いても、「慎は特別だからなぁ」で済まされる2人の関係が気になるといえば気になる。
…なるほど、タケはそれで見たいわけか。
納得してタケに視線を向けたら「ねっ♪」と笑顔が返される。
「…面白いかもな」 「ぜーったい面白いよ~!ね、竜も行こう!」
承諾の意味で首を縦に振ると、やった!とばかりに向けられていた笑顔が全開になり、ニコニコと山口に怒り続けてる隼人を引き摺って来た。
「何すんだよ!オレはまだ山口に話が…」 「いーから諦めなってばー。ヤンクミはサワダさんと遊ぶんでしょ?」 「そうだぞ!」 「じゃ、隼人はオレ達と遊ぼうよーこっちこっち!」 「オイッ!だからまだ…!」
隼人が離れて、タケのセリフに「やっとわかったか!」と頷いた山口が早速遅れに遅れて出席を取るのを横目に、タケがなにやらコソコソと隼人に話しかける。
「隼人バカじゃん?あんなに独り占めしたがってんだから真正面から言っても聞いてくれないって」 「バカ言うんじゃねぇよ!仕方ねぇだろ、紹介してくれんの山口だし」 「だから~大抵熊井さん所で待ち合わせしてるらしいから、そこで待ち伏せしたらいいじゃん!」 「あ」 「バカ正直に「クマんトコで会うから邪魔すんな」って言うこと聞いて。隼人のくせにさー」 「タケえらい!」
さっきの笑顔とは打って変わってニヤリと腹黒い笑顔を浮かべ、タケの「じゃ、放課後ね!」の言葉に4人全員でニヤリと笑い返した。
別にケンカするワケでもねーし、ただ「先輩」に会いたいだけなんだから、とことん強気で行ってやろうじゃん?
ヤンクミの「特別」な「サワダさん」。 どんだけの人なのか俄然興味が湧いてきた。
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とりあえずUPできるだけUP。 久美子さんに恋愛感情持ってない状態の竜ちゃんなら、話聞いただけじゃ超スルーしそうだなーと思って補足的続編です。前編は2と言うよりは1.5とか番外編的な…次回慎ちゃん登場? 竜ちゃんは直接目ですごさを確認しないと絶対信じなさそう。
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