どうして困った時は、一番最初にお前の顔が浮かぶんだろう? どうして泣きたくなったら、お前の姿を探しちゃうんだろう?
どうしてお前以外に甘えたくなかったんだろう?
無意識だった行動の全てが繋がっていく。
ただ意識せずに「好き」って言えるままでいたかった。
そろそろ好きって言わせてよ <10>
沢田が呟いた言葉の意味なんて考えられない程、あたしの頭ん中はポワポワとお花畑を歩いてる気分で全身から力という力が抜けちゃって、もたれてた沢田の体が笑ったように微かに振動した。
「どうした…?」 「ん。ちょっとな」 「ふぅん?」
またククッと笑って、沢田に優しく髪を撫でられる。今包まれてる沢田の匂いが心地よくて無意識にスリスリと首筋に頬を摺り寄せた。
「…どした?」 「さわだ、いいにおい…」 「そ…?」 「うん…あたしさわだのにおい…すきなんだあ…」 「………」
在学中香水を付けてる時も、家に泊まりに行ったりして知った付けてない時もあたしを安心させてくれてた沢田のにおいは、アフリカに行った後でも変わらない安心をくれる。 目を閉じて堪能しながら気持ちのまま言葉にしたら、くっついていた沢田の肩がピクリと動いて押し黙ってしまった。
「…さわだ?」 「…ちょっと黙って」
なんかあたしヘンなこと言ったか? 身じろぎして微妙に体を離そうとする沢田の服を掴んで押し留める。
「いま、はなれたくない」 「わかったから、ちょっと…今そういう風に話されたら、ヤバイ」 「…?」
離れるのはやめてくれたみたいで、改めて擦り寄ると沢田はなんだか深い溜息をついた。 仕方ないじゃないか、くっついてたいし!体に力はいんないし! つーかこんなにしたのは沢田だし!!
…と、ここまで心で文句を並べた後さっきまでしてたキスを思い出してぼふって音が鳴りそうな位顔が熱くなった。
な、なんかぽわぽわしちゃって忘れてたけど、あああああたしさささささわだとキッ…
「キスしちゃったよ!!」 「は?…何、今頃?」 「お前はなんで冷静なんだよ!!」 「冷静なワケじゃねぇよ。ほら」
恥ずかしさの余り食って掛かって喚き散らすあたしの手を、沢田が自分の胸にペタリと当てた。
「にゃぎゃー!!」 「どこの野良猫だ。落ち着け」 「これっこれが落ち着い………うわっ沢田、すごい速いぞ心臓。大丈夫か!!?」 「な。オレも冷静なワケじゃねぇんだって、わかった?」 「わ、わかった…」
顔に出ないって、不便な面もあるんだな。 自分だけドキドキしてるんじゃないことになんとなく少しホッとして、改めて沢田をよくよくジーッと見ると、目尻と髪の間から覗く耳が、赤かった。
なんだ、ちゃんと出てるじゃん。
他にも「沢田の気持ち」が出てる所がないかと、そのまま見つめていたら。 掴まれている手をギュッと握られて沢田が「はぁ~…」と深い溜息をついた。
「…オレ、一応止めようと頑張ってんだけど」 「ふぇ?止めるって…」
何を? 聞こうとした言葉は沢田の唇に吸い込まれて消えていった。 さっきとは違って、すぐに暖かくぬめった舌を差し込まれて、口腔を満遍なく舐られ舌を絡めとられてザラリと強く擦り付けられた。
「んうっ…!」
また、馴染みのない感覚が背筋を駆け巡る。
「…止めないと…やめないよ、もう」 「何…ん、あっ!?」
するりとシャツの下に滑り込んできた手で直接肌をなぞられて、今さっき駆け巡ったのよりもっと強い感覚に思わず声が出た。 数センチ前の、キスをする寸前の距離でずっとあたしの顔を見てる沢田の視線に晒されてるのに変な声出しちゃった恥ずかしさにじんわり浮かんだ涙を躊躇いなくキスで吸い取った沢田が不思議そうに「なんで泣くの」と聞いてくる。
「だって、声、が…うっ…んんーっ…変な声…恥ずかしいん、だ!」 「…ヤバイ。…今すげーヤンクミが可愛くてたまんない…」 「わ、わけわかんな…」 「そ?」
恥ずかしさを堪えて理由を言ったら、今まで見たことない位熱っぽい目でとんでもないゲロ甘ったるい事を言われちゃって顔から火が吹くかと思った。
生徒の時からずっと沢田はあたしに甘かったけど、こんな目で見られたことなかった。 今このまま沢田とくっついてたら、溶けちゃいそうな位に、熱の篭った甘ったるい視線。
あ。ヤバイ。
もしかして、あたしも今こんな目してる?
その目を瞼に閉じ込めて、柔らかい唇の虜になる。 唇も舌も唾液も吐息も、肌をまさぐってくる掌も何もかも熱くて甘くて、いつからか離されていた腕を沢田の背中に回してギュッと抱きしめたら、シャツの中に入り込んで背中の方にあった手はそのまま、もう片方を膝裏の辺りに突っ込んで勢いよく抱き上げられた。
「ひゃっ!?」 「…よかった、気づいて」 「え?」 「さすがにここだと痛いだろうから」 「え?何?え?」
疑問に対する答えは返って来ることなく、あたしをお姫様抱っこした沢田はリビングの隣のドアを足で開き、奥にある大き目のベッドにあたしをぽふんと落とした勢いで沢田が覆いかぶさってきた。
「ほんっと予想外…」 「だから何…ぁあっ!」
フッと見慣れた笑みを浮かべて呟いた言葉はやっぱりワケの分からないもので。 さっきのと合わせて聞こうと思ったのに、再開された手と唇の動きでそれは叶わぬまま頭の隅に追いやられた。
指先が、わき腹を撫でる。 ゆっくりとシャツのボタンを外されて、深く深く貪られていた唇から鎖骨に移動して小さな痛みと音と共にキスを一つ。 そこから唇と舌で首筋をねっとりと舐められた思わぬ刺激に、ぶるりと体が震えてまた声が出る。
「ふあっ…や、んっ…!」 「…これで聞くの最後」 「あっ…あっ」 「やめたかったら、今言って」 「さわっだ…っあ!」 「じゃないと、も…ギリギリだから…」 「耳っ…やぁ…っ」
耳に直接唇をつけたまま囁かれる沢田の声が、吐息と一緒に鼓膜を震わせて体がガクガクとゆれ自分の息が上がっていくのが止められない。
「オレとセックスしよう、ヤンクミ」 「やあぁっ…!!」
言い終えた途端耳の中に舌を差し込まれて、掻き混ぜられる。 ぐちゅぐちゅと濡れた音が頭の中に直接響くのが、本能的に違う何かを想像させて。余りに官能的なそれはあたしから「拒絶」の2文字を消し去っていった。
「や…あ…あぁっ」 「ヤンクミ…やめて欲しい…?」
ちゃんと止めてくれようとしてくれてるのに。 受ける刺激が、なんとも言えない…体の中で別の生き物が這い回るような自分ではどうにもできない感覚が後から後から湧いてきて、でも気持ち悪いんじゃなく…もっとどこか決定的な「何か」が欲しいというか。 あたしの体内に得体の知れないものが蓄積されて、熱くて熱くてどうしようもない。
折角止めてくれようとしたのに。
もっと沢田に触って欲しい。 もっといっぱい沢田が欲しい。
あたしの体、一体どうなっちゃってんだよお!?
出る声を止めることもできずに、翻弄されるがままあたしは理性を手放した。
「やめな、で…!」
ごめん沢田。 本当はあたしこうなることを望んでたんだ。
NEXT
えーと…必要なシーンではあるんですが、ナガムラの欲望のままに異様に長くなりました。 エロモードなんです頭が…。それもこれも松潤がライブで指舐めたりするから…!!(スイッチ理由) とりあえず次回から頑張ってエロモードオフに切り替えます。 じゃないと話が進まないorz
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