少し力を入れたらポッキリいっちまいそうな華奢な体。
快感に跳ねる細い体は思いの外頑丈だってのは知っているけど。 それでも無茶は到底できやしなくて。
こんな我慢できなくなる程欲しくなる相手だったなんて、
ホント予想外。
そろそろ好きって言わせてよ <11>
二つの荒い息以外、何も音のしない部屋。 組み敷いて散々泣かせて啼かせたヤンクミは、余韻が激しいみたいで目尻から流れる涙をそのままに、開いた口がまだ微かに断続的な声を上げている。
「ヤンクミ、大丈夫か…?」
普通に聞いても聞こえなさそうだから、体を支えていた両腕の力を抜いて肌を合わせて耳元で声を出すと、それがまた刺激になったらしくビクリと大きく震えて眼下に見える白い肌が粟立った。
「みっ耳やめろって…んっ!」 「遠いと、聞こえなさそうだったから」 「聞こえる!…ぁあっ…聞こえ、るからっ…!」
わざと息が掛かるように話せば、逃げようと逆側に顔を向けて首を伸ばす。 …そうすると、オレの前にはおいしそうな首筋や耳が露になるわけで、誘われるに任せて唇と舌で味わえば仰け反って更にキレイな筋が浮かび上がった。
「逆効果なんだけどな」 「あっも。しゃべんな…っ」 「集中しろって?」 「ばかちがうっ、あ!」
なんとか体を離そうとして胸を押してくる腕の力は、常のヤンクミではありえない程無いに等しい。 耳を口に含んで軟骨を甘噛みしながら、太ももの裏側を掬い上げて撫で上げれば押し返してたはずの手が縋る様に肩を掴んで嬌声を上げる。 弛緩したままの下肢は、立て続けの攻め上げで受け止め切れなかった快感の名残でガクガクと痙攣が止まらずに、立つどころか腕の支えがなければ座れない位だった。
「…すげービクビクしてる」
クスリと微かな笑いと共に太ももを撫で続ければ、潤んで充血した目でさも「お前の所為だ」と言わんばかりに睨みつけて来る。
そんな風に睨まれても、した直後のこっちとしては褒められてる気分にしかなんねぇんだけど。
「何?もっとしたいの?」 「ばっ!!ちがう!ムリ!!今日はもうムリ!!!」
「今日は」ってことは、次もあるって考えていいんだよな? 撫でていた手を外されて、シーツにくるまったどこもかしこも付けたキスマークと同じくらい真っ赤になってるヤンクミを、シーツごと抱きしめ首筋の所を捲りチュッと音の出る軽いキスを落とした。
「にゃっ!」 「ま、『今日は』勘弁してやるよ」
というか正直、オレも眠い。 帰国して色々動いて…最後にやたら神経使う運動したし。
もうこのままヤンクミ抱いて寝ちまおうかとよっぽど思ったけど、さすがに色々なもので体もドロドロだし、一緒に寝るならシーツも変えた方がいいだろうと抱きしめてるヤンクミの後頭部をポンと撫でて風呂を促すけど、既にかなり眠いようで目の開き具合がかなり微妙。
「もう寝たい~…」 「寝たら勝手に風呂入れて楽しませてもらっちゃうけど?」 「………入る」 「残念、じゃ今度。な」 「ばかたれっ」
唇を尖らせて頬を赤らめたまま怒るヤンクミともう一度体内で燻ってるものを刺激しないように、内心慎重になりながらしっかりとキスをしてバスルームに送り出した後、シーツを換えてやっぱり自分もバスルームへと直行した。
開けるなり、シャワーを浴びていたヤンクミが近所迷惑な位ぎゃあぎゃあ騒いでいたけど、既に脳みそがヤンクミ第一になりつつあるオレは半ば強引に一緒に浴
びて、やっぱり我慢できずに少し…いやかなり味わってしまい、浴び終わってベッドに沈んだ瞬間二人で爆睡したんだけども。
これまで性欲に対しても女に対してもほとんど興味がなかった自分が、まさか「親友」と思ってた元担任にこれだけ露に欲望丸出しにするなんて思ってもみなくて、我が事ながら物凄ぇ意外。
元よりヤンクミが可愛いと公言してきたオレだから、仲間は多分驚かないだろうけど…ヤンクミのこんな姿、他の誰にも絶対ぇ見せたくないとか。他の男が手ぇ
出しやがったらそいつの事コンクリ詰めして海に投げ捨ててぇ。とか考え出す自分の独占欲と執着にも似た愛情にびっくりだ。
ふと先に目が覚めて時間を確認したら、まだ朝の5時。 隣にはオレに手足を巻きつけピッタリとくっついてすやすや眠るヤンクミの姿。 シャワーを浴びてきちんとパジャマを着ているからまだいいが、これで裸だったら確実に朝からヤバかっただろうな…と昨日の行為の所為か寝顔にまでどこかしら色香を感じて、抑える為にただ髪を撫でる。
見合いぶっ潰せるように見合い相手の監視に対してヤンクミに少し男の影があるってことを出せればいいだけで。 三代目だってそのつもりでこいつをここへ寄越したんだろう。 ちょっとしたイタズラ心が抑えがたい欲望にまで成長するのは時間を必要とせず本当に一瞬だった。
ヤンクミの見合い相手の「万条目」…。 昨日テツさんから聞いた話は、万条目についての噂。 奴の性癖はいわゆる処女を好む「初物食い」で、5回以上は関係を持たずに金で示談にして相手を捨てる。結婚暦は4回でいずれも2ヶ月以内に離婚。その結婚生活の間も万条目の「性癖」は健在で、独身と同じ所業を繰り返していたらしい。 噂といっても知っている者には公然の秘密というやつで、裏付けの為に少し調べただけで被害者は20人強。
オレが知ったのはこの位だけど、調べた時間はかなり短期間だとテツさんは言っていたから、叩けばもっと出てくるだろう。
そんな下衆にヤンクミを見せるだけでもいやだ。
涙を浮かべてお嬢が不憫だと、久美子自身が受けると言ってしまった以上、三代目の立場があるから軽々しく止めろと言うわけにも行かず、自分には八方塞がりなんだと。 帰国したばかりのお前ぇさんに言うのもおかしいんだが、と最後は苦笑いで締め括られた。
オレとヤンクミは、それこそ3年の後半以降は教師と生徒というより同志か親友と呼ばれるのがしっくり来ていたと思う。 何かあった時にまず最初に頼るのはお互いだったし、誰かがどちらかの事を聞くときはほぼ必ずといって良いほど最初に聞かれたその関係は、3年のブランクがあってもオレ以上にヤンクミに近づいた者がいないことを三代目やテツさんが物語っていた。
傍らの安らかな寝顔は、常に側に居たあの頃と少しも変わらないというのに。
「帰ってきた途端に…厄介な奴…」
たった1日で変わってしまった関係が良いのか悪いのかはわからないけれど、もう手放せないのは十二分に理解できた。
お前にとっても、オレにとっても大事な大江戸が、下衆野郎の手で自由に生きるための足枷となるのは許せないから。
伊達にお前の隣を歩いてきたわけじゃねぇのを、見せてやろうじゃねぇか。
体を起こして再び時間を確認すれば、ちょうど7時。 疲れさせたのは重々承知だが、流石に昨日の今日で仕事に遅刻させるわけにもいかず無理矢理起床を促すと、寝ぼけ眼で「あ~おはよう沢田…」と言ってからようやく昨日からの状況に気づいたらしく、見事な勢いで赤面した。
「…起きた?」 「おっおう、おき起きた!!」 「そろそろ起きねぇと遅刻。朝飯用意するから準備しろよ」 「ひ、ひゃいっ!!」
それからとりあえず出られるよう支度をして宣言どおり黒銀まで送って行ったものの、はっきり言ってその間のヤンクミは凄い緊張っぷりだった。 顔が赤面のまま強張ってるのはもちろん、信号等で止まって歩き出す時はブリキのおもちゃかっつーくらいガッチガチで右手右足が同時に出るし、少しでもどこか触れ合おうものなら「ひぇいっ!!」と奇声を上げて飛び上がる。 かつてのヤンクミの想い人、篠原刑事を前にしてもここまですごくはなかったような気がするし、オレに対して緊張されるというのが初体験だからこっちまで無駄に緊張させられて赤面しそうになるし、なんだか散々だった。
だけど黒銀の少し手前で別れる時に、真っ赤になったままで「あ、あとでな!」と言った笑顔がやたら可愛く見えたのが、多分今のオレの気持ちを如実に表してるんだろう。
それに。
「あとで」という言葉が、ちゃんと今日もオレの家へ帰ってくるんだと教えてくれて、不覚にも安堵でにやけそうなオレがいた。
NEXT
全然進んでないよ慎ちゃーん! しつっこいよ慎ちゃーん!! でもナガムラの中で黒慎ちゃんは、普段は久美子さんを散々甘々に甘やかして、夜は甘ったるくいじめぬくというイメージなので(ロクなもんじゃないな…)、ある意味正しい進みかもしれません(笑)。 さて、エロモードのシーンがやっと抜けたので次回こそ…次回こそ…!(いつも言ってる)
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