変わらない態度 変わらない距離
教師と生徒だろうが元教師と元生徒だろうが 自分にとって、お前はお前だったんだ。
そろそろ好きって言わせてよ <5>
「お前ら、今日はあたしは飲み会だっつってんだろーが!!」 「八つ当たりしないでくだパーイ!」 「そんなにがっついてるとクジョーも逃げ出しちゃうにゃ!」
昨日、憧れの九條先生に誘われてウキウキルンルン♪ですんっごーっく!!朝から楽しみにしていた今日の飲み会。放課後早速準備しようとHRを終えて職員室
に戻ろうとした矢先、矢吹に「相談に乗って欲しい」と言われて…少しくらい遅れたって、大事な生徒の為だ!と熊井ラーメンに引っ張られてきたまではいいも
のの、矢吹の野郎は一向に相談の内容を言わずにのらりくらりとかわされ続けて既に2時間が経過しちゃっていた。
しかも矢吹の相談だってのに他の4人もフッツーにいやがるし。
「矢吹、ホントに相談あるんだろうなあ!」 「生徒を疑わないでくだパーイ」 「じゃあサッサと言えよ!!」 「センサイなソーダンなんだから急かさないでくだパイ!」 「繊細ねぇ…繊細な相談ならなんでこんなうるさい状況になってんだよ!!」 「うるせーのはお前だろ」
しれっとした顔で話さない矢吹を問い詰めてたら横から小田切に突っ込まれた。
そんなこたーどうでもいいんだよっ!!
折角九條さんが直接誘ってくださったのに! 遅れるならまだしも、このままじゃ「行けない」なんて選択肢が見え隠れし始めて焦るったらない。
「何が何でもさっさと吐かせてや…」
もう少しで力ずくの行動にでようと指を鳴らした所で、とんとん、と肩をつつかれ
「なんだこの野郎!!」
怒鳴りながら振り返ったらあたしのほっぺたにぶすっと振り向く勢いに比例したいい強さで誰かの指が突き刺さった。
「いったあっ!」 「バーカ」
誰だよ何すんだ!!と叫ぼうとして、その声の相手を耳が認識した途端ぶわっと胸の中に何かが広がって、息が止まった。
この声をあたしは知ってる。 微かに香る匂いも、ほっぺたに当たる指の温度も、あたしは知ってる。
「なんで第一声が「バカ」なんだよ…っ」
視線を前と同じくらいに上げたら、微妙にずれてた。
背が伸びたんだ。 なんだか肩幅も広くなってる。
「お前だって「いったあ」じゃん」 「痛かったんだ!」 「勢い良すぎんだよ」
相変わらずだな、と目は優しいのに皮肉っぽく笑う口元は変わってない。
ほっぺたに突き刺されたまんまだった指が、ダラリと下がってるあたしの指を絡め取った。
前と一緒の指先だけを絡める手の繋ぎ方で、ただキレイだった手が意外なほどゴツくなってたことに気づいて、さっき胸の中に広がった何かがぎゅーっと固まって心臓か肺を圧迫してるみたいに痛くて苦しくて、視界が一気に蜃気楼みたいに揺れてきた。
「さ」 「うん?」 「さわだ」 「うん」 「さわだだ…」 「うん」
あたし3年間頑張ったよ。 沢田もアフリカでいっぱい頑張ってるって思ってたから、あたしも頑張ったんだよ。 ちゃんと生徒に体当たりして、お前らと同じように信頼しあえるように、って。
沢田にすっげーいっぱいいっぱい自慢できるように、って。
「さわだ…」 「うん」
帰ってきた時のことをずーっと考えてて、会った途端に今までの事を三日三晩掛けて話し倒そうって位の勢いで沢田に教えるんだ!って思ってたのに、絡め取ら
れた指先の感覚がなんだか嬉しすぎて胸の中がぎゅーって、ぶわーって、何も話せないでボロボロボロボロ泣いてしまった。
会いたかったよ沢田。 会ってから分かるって鈍いなーと自分でも思うけど、お前がアフリカに行っちゃった時から、あたし会いたくてたまらなかったんだよ、沢田。
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スピードアップとか…嘘です…(あ、あれー?) お酒が入ると余計に長くなってだめっすね(酒豪)。
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