ちゃんと大人をやってたよ。 だって生徒に甘えるなんて以ての外。
また会っても、ちゃんと大人をできると思ったんだけど 培われた甘え癖は中々抜けないっぽい。
そろそろ好きって言わせてよ <6>
唖然とする今の教え子達の存在をすっかりぽっかり忘れて、散々泣いて沢田に慰められながらカウンターに座らされた。
「まぶたが重い…」 「泣きすぎなんだって…ほら、コレ目に当ててろ」 「…ぅひぃ~~ん…」
泣きすぎで腫れぼったく重さを増したまぶたを擦ろうとした手を止められて、代わりに冷たいおしぼりを目に当てられ頭を優しくポンポンされる。
そばに居る頃はよくやってくれたその仕草が、沢田があたしの所に帰ってきたんだと実感させてくれて更に泣けてきちゃって、もー涙ってどうやって止めるんだったっけ?と聞きたくなるような状態になってしまった。
「ヤンクミよっぽど嬉しいんだね~」 「まあ、3年ぶりだって言うし…」 「…でもただの生徒なんだろ!?」 「…らしいけどな…」
なんか後ろから聞こえるけど、反論する気力さえ「泣き」に使っちゃって何も言えない。というか、反論するとこないし。 …まあ、「ただの生徒」というには沢田の存在はあたしの中ででかすぎるんだけど。
だって最初の生徒でクラスのリーダーで親友で、沢田を一言で表すなんて難しすぎるんだ。
「しゃ、しゃわら」 「ん?」 「…いつ?」 「あー…今日。さっき来た時にクマにクラスの奴らへの連絡頼んで…携帯買ったから、教えようと思って来たんだ」 「………はあっ!!?」
主語なしで分かってくれるのも変わってなくて、まだ涙が出そうになったんだけどある事に気づいて速攻で引っ込んだ。
「何?」 「なんであたしよりクマが先なんだよ!!!クマ!!なんでお前が先なんだよっ!!」 「えぇええ~~~?」
カウンターの向こうでラーメン作ってるクマに怒鳴りつけると、クマから物凄い困ったような声がしたけどそれどころじゃない。
あたしの方がずっとずっと沢田のこと待ってたのに! アフリカ行く前もあたしが最高の親友だって言ってたのになんで!!
と思ってたら、呆れたようなため息をつきながら沢田が答えを教えてくれた。
「お前の勤務先とか知らないからだろ…」 「あ。」 「どうせ直接会わなきゃお前拗ねるし」 「すっ…拗ねねぇもんっ」 「現に今拗ねたの誰?」 「うぐ…だって、最初が良かったんだっ!」
帰ってきた沢田の顔を、誰より先に、一番最初に見たかったんだ。
「あっ!」 「今度は何」 「おかえり沢田っ!」 「…やっと気づいたか。ただいま、ヤンクミ」
沢田がいることにびっくりしすぎて、肝心な事を言うの忘れてた。
「それはお前が一番」 「へ?」 「おかえりって。最初に言って貰うのヤンクミって決めてたし」
なんか前より優しくなった笑顔で、沢田がそう言ってくれるからすごく嬉しくて頭を撫でてくれてる手を取って、また繋いだ。
「嬉しいぞ!」 「それはよかった」 「でも一番に会えたらもっと嬉しかった!」 「…拗ねねぇの」
仕方ないじゃないか、あたしにだって理想の「感動の再会」ってのがあったのに、台無しにしたのは沢田なんだから! ちょっと膨れて繋いだ手をブンブン振ったら、しょうがないなって顔して強くぎゅっぎゅっと手を握り直される。
「もう行かないのか?」 「行かないよ」 「会いたい時会える?」 「いつでも」 「…ニシシ」 「ヤンクミ、この前まではちゃんと先公してたのに…慎ちゃん帰ってきたら逆戻りだな」
クマが餃子をあたしの前に置きながら呆れたように言ってきたけど、3年ちゃんと甘えるのを封印してたんだから一挙放出したっていいじゃないか。と思って無視してやった。
沢田が帰ってきたのが嬉しくて嬉しくて、あたしは今自分に起ころうとしてる問題のことなんか全く忘れてた。
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なんだこの甘えっ子。 際限なくいちゃいちゃが続きそうなんで無理矢理切りました(笑)。 慎ちゃん視点でやればよかったと激しく後悔です。 すっ…進まねぇ~!!
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