男に産まれたかったと思ったこともあったけど お前に甘やかされてると、女もいいもんだって思えた
お前ならどんなあたしでも受け入れてくれるって 無意識にわかってたのかもしれない
そろそろ好きって言わせてよ <9>
「…お前を男扱いした覚えねぇけど」
自分でもヘンな質問を唐突にしたと思うけど、あたしの突飛な行動に慣れすぎてる沢田はさして動揺もしてない様子でそんなことを言った。 えぇ、された覚えもありませんとも。 こんだけ甘やかされてて男扱いされてたって聞いたら、沢田がそっち系かと思っちゃうよ。
「じゃなくて。あの~~~…」 「男と女的な意味で?」 「それだよ!」 「もしかして篠原あたりに「女に見えない」とか言われて振られた?」 「んなワケねぇだろ!!篠原さんはそんな失礼なこと言わないよ!!」
というか、本当は篠原さんが転勤になる直前…こっ…告白とかされちゃったんだけど。 憧れの篠原さんに好きって言われたら、さぞかし舞い上がってOKしちゃうんだろうな~って想像してたにも関わらず、口から出た言葉は大方の…自分の予想さえも裏切って「ごめんなさい」しか言えなかった。 あの頃って、沢田がアフリカに行っちゃって最高潮に落ち込んでた頃だったし…でも散々応援してもらったのに、自分のせいで篠原さんを断ったって思われたくなくてなんとなく沢田には言えない気がしてた。
ちゃんと好きだと思ってたんだけどなあ…。
「…おい……おいヤンクミ、トリップすんな」 「え!?あぁごめんごめん!」 「お前、自分から振った話題の時くらいはちゃんと聞いとけよ話」 「ごめんって…で?」
篠原さんで流されたかと思ってたのに、相変わらず律儀な沢田はちゃんと答えをくれるらしい。
「正直全く考えたことなかったけど…オレ元々そっち方面あんま興味ねぇし」 「お前そんな若さで…」 「うるせ、つーか興味ねぇのは知ってんだろうが」
知ってるけど、あまりに淡白すぎて先生は時々心配になっていたんだよ…。
「とりあえず若さとか置いとけ。結論から言うと、お前の事は男と女抜きにしても好きだし…可愛いと思うんだから見れるんじゃねぇ?」 「へっあっそ、そう!?」 「聞いといてなんでそんな赤くなってんだよ…」 「いやだってお前…か…わいーとか言うから!ちょっと照れてだな」 「そんなん前から言ってんだろーが」
あぁ、ペットね!ペット的な意味ではね!! そりゃ生徒ん時から言われてたけど、今じゃ状況が違うというか…女として見れるかって聞いてんのに、そういうこと言うなってんだ!
言われて両手で頬を隠すと、触った場所の温度がいつもより熱くて相当真っ赤になってるのが分かり、なんだか尚更恥ずかしさに熱くなってきた。 見ると沢田は、どこか普段と色の違う目でこちらを見ていて。
「…試してみる?」 「ふへぇ!?」 「試してみようか」
言われた意味が脳みそになかなか到達しなくて呆けている間に、アフリカに行ってる間に精悍さを身に着けた沢田の整った顔がぼやける位近くまで来てて…視界が黒髪で覆われた。
「…やわらけぇ…」
つきたてのおもちみたいな、ふんにゃりと柔らかいものが唇に触れて「あぁ、こういうことか」とやっと脳みそに言われた意味が到達した。 それと同時に、あたしが心で思ってた感想を唇が触れ合う距離で沢田がそのまま言ったから「沢田も同じなんだ」って妙に安心して、自然のままに下ろしているだけだった両サイドの髪を後ろに梳かれた。
「…もーいっかい…」 「…ん…」
多分この距離じゃなきゃ聞こえないくらいの声で囁いてくる沢田の柔らかなものが、無防備に晒されたあたしの上唇と下唇を順番に優しく食んだのを今度は目を閉じて受け入れた。
触れ合うだけの甘ったるいキスを、何度も何度もされて最初首筋にあった沢田の手が合間にゆっくりとあたしの腰を引き寄せて、足の間に座らせられる。 最初どこに置いたらいいかわからなくてなんとなく自分の服を掴んでいた手は、近くなった沢田の服の胸元を無意識に掴んでいた。
はじめてなのにはじめてじゃないような…物凄くドキドキしてるのに、それ以上に落ち着くっていうか…沢田の腰に回っていた両手の片方が肩を抱くようにグッ
と引き寄せられ飽きることなく啄ばまれるキスの甘さにすっかり緩んでいた唇を、ぺロリと舐め上げられて腰から背中に掛けてゾクゾクと何とも言えない感覚が
走りぬけるのをどこかへ逃そうと溜息を漏らしたら、開いた唇から差し込まれた沢田の舌にあたしの舌を舐められて、逃そうといていたあの感覚が更に強くなっ
て助けを求めるように服を掴んでた手の力を強めて沢田を引き寄せた。
「…ん、ん…あっ」
そうすると沢田のあたしに回されていた手の拘束が強くなり、ぴったりと寄り添う体勢になる。 服を掴んでいた手が窮屈で、思わず沢田の頭を抱きこむように回したら沢田が一瞬だけピクリと反応した後、角度を変えて反射的に逃げようとしたあたしをかき抱くようにして更に深く唇が合わされ、舌が歯列をなぞり咥内を食いつくさんばかりに散々嬲られ尽くした。
「ん、ふぁ…っんんぅ…!」
さっきのゾクゾクするのなんか可愛いもんだとばかりに、ひっきりなしに肌の全てがざわざわとざわめいて腰のあたりが甘さが蓄積されたかの如く重だるくなっていく。
ななななんだこれなんだこれ! まるであたしの声じゃないみたいな声が出るのを、止めたいのに止められない。
「…はぁ…」 「っぁ…さわ、だ…んーっ!」
沢田もさすがに息が苦しくなったのか一瞬だけ合わせ続けていた唇を離しついた溜息は、嬲られっぱなしだったあたしの唇には更なる刺激にしか受け取れずにまたも小さく声が漏れた。 恥ずかしさに読んだ沢田の名前さえ、どこかいやらしい響きをしている気がして少し詰まってしまった声は、再開されたキスに飲み込まれていく。
何かを考えることさえ放棄した頭の中まで、沢田のキスの気持ちよさに侵食される。 心臓がドッコンドッコンとすっごい速さで和太鼓を連打するみたいになってて、貪り尽くすようなキスとは対照的に優しく背中を上下する手の動きにも肌がざわざわと粟立ち、時たまビクリと体が跳ねるのも止められなかった。
どれだけの時間していたかわからなかったけど、小さな水音を残して名残惜しそうに沢田の唇が離れた時、あたしは唇の感覚はしびれてないわ、沢田の支えなしじゃ座っても居られないわって程ぐったりと息が上がった状態になっていた。
…というか、視界が全部ピンク色に見える…。
沢田の腕の中で、肩に頭を乗せたままボーッとしてる間に、さっきとは違う啄ばむ様なキスを数度落としてその度にピクリと背を震わせるあたしに、沢田はクスリと笑みを漏らし「これは…予想外だ」とわけの分からないことを呟いた。
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好きなだけやっちゃって慎ちゃん!と思って書いてたら、いつまでやってんだよ!と突っ込みたくなりました。初心者の久美子さんにこれはキツイですね(笑)。 というか、ピンクモードが楽しくて仕方ないです。超ウキウキです。
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